ホームページの保守・管理というのは、Webサイトを継続的にメンテナンスし、サーバーを最新状態に保つなどホームページを常に守り、正常な状態を保つよう管理します。
ホームページは、一度公開してもさまざまな作業や不具合が発生するので、しっかりと保守・管理を行わなくてはいけません。しかし、具体的に保守・管理とは何かわからないケースも多いでしょう。
今回は、ホームページの保守・管理の必要性や内容、費用について解説します。
ホームページの保守・管理が必要な理由
ホームページの保守・管理が必要な理由は、サイトを公開した後も定期的に契約更新を行ったり、仕様変更に合わせて変更を行ったりと変化に適応させるためです。
古い情報をいつまでも残していては誤解を招くため、新しく正しい情報を更新する必要があります。そのほかにも、システムのアップデートや障害発生時の対処なども行うものです。
中には、ホームページを作ったままにしている企業もありますが、放置状態にしておくと結果的に古い情報がそのままのサイトとして認識されて信用されません。
企業のホームページに対して、利用者は依頼をするかどうか注文するかどうかを検討する1つの材料として見ています。
一度作ったきり、全く手入れを行っていないホームページを見ると、見た目も中身も古く鮮度が悪いと感じられて売り上げにはつながりません。しっかりと保守・管理を行い、鮮度の高いWebサイト運営を行うことが、顧客からの信頼を得られる大きなポイントになるでしょう。
具体的な保守・管理は大きく分けて5つ
保守・管理は厳密にいうと違う意味ですが、一般的にはホームページを正常に維持するために必要な作業として1つにとらえられています。
具体的に保守・管理は、大きく分けて以下の5つです。
- ホームページ関連
- ドメイン関連
- サーバー関連
- セキュリティ関連(SSL等)
- その他
それぞれ特徴が異なりますので、詳細を解説していきます。
ホームページ関連
最も多岐に渡った保守・管理が必要になるのが、ホームページ関連です。
技術面・更新などの運用面が肝となっており、それぞれ詳しく解説します。
保守
保守とはセキュリティ対策のほかに、システム・アップデートチェックなどが含まれます。
主な保守は、以下のとおりです。
- セキュリティ対策
- 障害時の対応
- バックアップ
- バージョンアップ
保守で最も重要なのは、セキュリティ対策です。
サーバーサイドがメインですが、ホームページ側でもできることはたくさんあります。WordPressを使用している場合は、プラグインをインストールする・ログインパスワードを複雑化させて定期的に変更するなどが必要です。
ホームページを運用する上で避けて通れないのは、障害だといえます。サーバーサイドによる障害が主ですが、時折WordPress単体の障害も発生するので、しっかりと対応できるようにしましょう。
障害・改ざんが行われた時のために、日頃からきちんとバックアップをとっておくことが重要です。また、以下の部分を定期的にバージョンアップさせる必要もあります。
- PHPやMySQL
- WordPressのコアシステムやプラグイン
- CGIプログラム
- 各ブラウザ
どんなプログラムやシステムも、定期的にバージョンアップされるので早めの対応が大切です。
運用
ホームページ運用は、非常に幅広い部分で管理していかなくてはいけません。
日々の更新・修正作業、SEO対策、SNSの活用、販促などが中心です。運用は保守と異なり、技術的なスキルを必要とはしないため、業者に依頼するのではなくて自社スタッフが対応するケースもよくあります。
主な運用は、以下のとおりです。
- ホームページの更新や修正
- SEO対策
- アクセス解析
- SNSの活用
- 広告の活用
- 他社のチェック
ホームページを充実させるためには、古い情報のままではいけません。しっかりと新しい状態にしておくことで、訪れるユーザーは信頼してくれます。
日々、更新や新しい情報に修正するなどして新しい状態を保ちましょう。その際、SEO対策もしっかりと行い、継続的に対応してください。
更新作業やSEO対策を行った後は、ホームページにどの程度の来訪者があるか、1つの記事やホームページそのものの離脱率はどのくらいなのかをチェックします。
アクセス解析と呼ばれるもので、企業の認知度を高めるために役立ちます。SNS・広告の活用は、ホームページの存在を知らせるためにとても重要なポイントなので、必ず運用しましょう。
予算がない企業でも、SNSや広告に関してはスタートしやすいです。
契約更新
ホームページを運用する上で、契約更新や支払業務はWordPressなどで制作した場合は、継続的に費用が発生したり更新業務を行ったりする必要がほぼありません。
しかし、以下のようなケースは契約更新・定期的な支払業務が必要です。
- ライセンス制やクラウドタイプのCMS
- 有料のプラグインやビルダーを使用
ライセンス費用が必要な有料のCMSやクラウド型のCMSを使用し、ホームページを構築している場合は月額もしくは年額費用が発生するので、契約更新・支払業が発生します。
また、近年増加しているWordPressなどの有料テーマやプラグイン、サイトビルダーを使っている場合も月額・年額が発生するものです。うっかり更新を忘れて、停止処分を受けて仕舞えばホームページの運用ができなくなるので注意しましょう。
ドメイン関連
ドメインは、インターネット上の住所・商号の意味合いを持つ部分で、Webサイトでいえば「URL」、メールアドレスの「ドメイン」を意味しています。
ホームページを運用する上で、重要な位置付けとなるため、保守・管理は必須と言えるでしょう。
ドメイン関連の保守・管理は、以下の2つです。
- ドメインの保守
- 契約更新・支払
まず、ドメイン自体の保守はレジストラの管理システムを準拠しているケースが多いので、定期的に絶対保守作業を行わなくてはいけないというわけではありません。
ドメイン管理側でネームサーバーを使用するケースが多いです。次に、つい忘れがちなドメインの契約更新です。
会社によって違いますが、基本的に年に1回の費用が発生します。
更新時期になると通知はきますが、企業側だけで対応すると忙しさでつい失念するケースも多いです。契約維持管理と契約は、管理会社を経由して行われます。
更新時期に年間の維持費用を払い、更新を行いますが、うっかり支払いを忘れてしまうと一定期間が経過した後、ドメインの更新がされずに解約されてしまいます。
せっかくのWebページがなくなってしまうので、しっかりと管理しましょう。最近では、企業が使用していた期限切れのドメインを無関係な事業者が即座に購入して、詐欺サイト・公序良俗に反する広告サイトとして使用するケースが増えています。
そうなると企業イメージが低下するため、不要となっても即座に手放さず、権限だけは所有しておくと良いです。
サーバー関連
サーバーはインターネット上にあるオフィス・倉庫のようなもので、なければホームページの公開は不可能です。
そのため、しっかりとサーバーの保守・管理は重要といえます。サーバーも1ヶ月ごとや1年ごとなど期間契約となっているため、更新作業や支払業務も必要です。
企業のホームページの仕様や機能に合わせて、スペックの変更なども適宜行う必要があります。サーバーの保守は、とても重要なポイントとなるので、事業者に依頼する際もしっかりと対応を決めてください。
サーバーを24時間監視し、障害発生時にはすぐに対応できるような体制の構築はもちろん、サーバーのバックアップやアカウント管理も重要です。
データベース・メールサーバーも含めた管理が必要です。
さらに、OS・ミドルウェア・ネットワークなどで使用しているアプリケーションの脆弱性に対応し、セキュリティを強化する必要もあります。そのまま古い状態にしていると、外部からの不正アクセスが起きる原因となるのです。
セキュリティ関係(SSL証明書)
ホームページのセキュリティ対策はSSL証明書が重要です。
SSL証明書はレンタルサーバーにインストールし、ブラウザとサーバー間で「通信データの暗号化」を行うと、悪意のある第三者からの盗み見などを保護してくれます。
SSL証明書の種類は、以下の3つです。
- DVと呼ばれるドメイン認証
- OVと呼ばれる実在証明
- EVと呼ばれる拡張認証
証明書には、ホームページの所有者情報・暗号化通信に必要なキー・発行者の署名が含まれています。
SSL証明書はホスティング事業者が提供するものを使う、もしくは自社で直接取得し独自にサーバー内に設置するかのどちらかです。ホスティング事業者が提供するSSLの場合は、基本的に事業者が保守も行うので難しさはありません。
自社の場合は、高度なスキルが求められます。
その他
その他の保守・管理にはAPI接続やECサイトの保守が含まれます。
Web APIなどを使用して自社ホームページと外部Webサービスを接続している場合、サーバー環境の変化や仕様の変更によって不具合が生じるケースが多いです。その場合は、接続元へ確認をして復旧させる必要があるでしょう。
また、ECサイトを運用している場合もサーバー・システムの保守・管理が必要です。
ホームページの保守・管理に必要な費用と内訳
Webサイトの保守・管理を自社で行うのはとても大変なので、一般的には事業者に依頼しています。
近年、数多くの事業者が存在しているので、どこに依頼をすればいいのだろうかと迷うでしょう。対応してもらう保守・管理の部分で違うので、予算に合わせて決めてください。
自社管理なら月額5,000円以下
とにかく予算を抑えたいという場合は、基本的に自社管理をおすすめします。自社管理の場合は、月額5,000円以下で利用できるでしょう。
サーバー、ドメイン、SSLなど最低限度の維持費のみが含まれるので、低予算で運用できます。無料ホームページ作成サービスを使用する場合は、ドメインにこだわりがなければ完全無料で利用することも可能です。
一方で、コンテンツ修正や基本の保守・管理は自社で行うか都度事業者に単体で依頼する必要があるので手間がかかる点がデメリットです。
一般的な相場は月額10,000〜30,000円
基本的な保守・管理を希望する場合は、月額10,000〜30,000円程度が相場です。
少し幅はありますが、コンテンツ修正・障害時の対応などホームページを運用していく上で必要な部分に対応しています。もちろん、サーバー・ドメイン・SSLの維持費も含まれているので、一般的な管理費として多い価格です。
ただし、大幅なデザイン・仕様の変更や新規ページの大量の追加は別途料金が発生する可能性があります。
細やかな対応を望むなら月額30,000〜50,000円
Webサイト運用で細やかな対応を望む場合は、月額30,000〜50,000円程度が相場です。
一般的なホームページの保守・管理に必要な部分に対応している他、CMSメンテナンスや月次レポートなどアクセス解析に役立つ対応が期待できます。
大手事業者に依頼する際の相場ですが、本格的な集客コンサルを受けるというよりも参考資料を提示してくれる程度に考えてください。手厚いサポートは受けられますが、年額にすると大きなコスト負担となるため、予算内でどこまで行ってもらえるのか事前の確認が必要です。
集客などそのほかの運用も期待するなら月額50,000円以上
集客などマーケティング全般も全て期待する場合は、月額50,000円以上が相場です。
50,000〜200,000円の場合、集客・利益向上の面でアドバイスをしてくれますが、実践は自社側が行います。全てを任せたいという場合は、200,000〜300,000円程度必要だと考えましょう。
1社に一任するケースもありますが、事業者それぞれ得意分野が違うので、依頼先を分けている会社も多いです。高額な費用を投資するので、しっかりと専門的な知見がある事業者か依頼前に見極めてください。
初めてのマーケティングで悩んでいる、人員を揃えることが難しいなどであれば予算を大きく取りましょう。
ホームページの保守・管理を業者に任せるメリット・デメリット
ホームページの保守・管理を自社で行うこともできますが、業者に任せる企業もたくさんあります。
業者に任せることでメリットもデメリットもあるので、しっかりと把握しておきましょう。どちらも理解した上で、業者に依頼するのかどうか検討してください。
最新技術に対応できる点がメリット
業者にホームページの保守・管理を任せる大きなメリットは、最新技術に対応してもらえる点です。
常に新しい情報を専門業者は仕入れているので、セキュリティ面でもウィルス対策でもあらゆる側面からカバーしてもらえます。業者に依頼していると、実際にホームページを運営していく上で発生するトラブルや不具合に対して、すぐに対応してくれるので不安感がありません。
電話・メールなどのサポートが受けらますし、専門的なアドバイスをくれるので早期解決が可能です。また、自社で保守・管理をすると担当社員を設けたり、掛け持ちしたりと自社の社員が本業に注力できない状況ができてしまいます。
業者に依頼すると、自社の社員が本業に注力できるというのは、大きなメリットでしょう。
コスト面がデメリット
ホームページの保守・管理を業者に任せるデメリットは、外注費がかかるという点です。
何から何までお願いしたい、という場合は数十万円必要なるケースがあるので、予算をしっかりと検討してください。自社で行ったとしても、担当制度にするなど対応が必要になるのでその分の人件費や教育費などに新しいコスト発生が必要になる可能性もあります。
どちらが費用負担が大きいのかは、その時々の状況によって違うため、きちんと現状と比較し費用対効果の検証を行ってください。予算の調整や業者に依頼する範囲などもきちんと検討すると良いです。
また、外注することで何かと対応に時間がかかってしまうケースも多くあります。
ちょっとした修正であれば、多少時間がかかっても良いですが、重要な情報の更新時には時間がかかると困る可能性があるでしょう。そのため、事前に業者へいつ対応ができるのか、時間はどの程度かかるのかという点も確認をしてください。
ホームページ保守・管理会社の選び方
ホームページの保守・管理をしてもらう会社は、非常に多くあります。
ホームページを制作する企業や専門的に保守管理を行う企業など、いろいろ種類も違うので自社で選ぶ業者はどこがいいのか悩むものです。そのため、しっかりと選び方を理解しておきましょう
丁寧な対応をしてくれるか
必要なサポートに対して、丁寧な対応をしてもらえるのかどうかは保守管理を任せる会社を選ぶ際の重要なポイントといえます。
どんなサービスに対応してもらえるのか、さらに緊急時のサポートはどこまでなのかを確認してください。緊急のトラブルの際に、メールだけではなくて電話の対応もしてもらえるのかもチェックしましょう。
メール対応のみの業者も多く、急ぎの場合の対応を望めない可能性もあります。
早く原因を追求し、トラブルを解消してもらうためには、電話対応もできるもしくはチャットサービスの対応などが必要です。スピード感と丁寧な対応は必ず確認してください。
事業年数
ホームページの保守・管理を依頼する業者を選ぶ際、事業年数も大きなポイントです。
新しい事業者がダメ、というわけではありませんが、例えば10年以上実績がある業者であれば、しっかりとノウハウと実績があるので安心と言えます。保守管理サービスについて、知見と経験がある業者を選ぶことがとても大事なポイントです。
ホームページについて精通しているか
業者がしっかりとホームページの保守・管理について精通しているのかも重要です。
費用負担をかけて依頼するので、きちんとした業者に依頼しなければ失敗につながります。ホームページの保守・管理は、専門的な知識が必要になるので、信頼できる知見がある業者に依頼しましょう。
サーバーやドメイン、CMSに精通しているのかどうかが重要なので、ホームページにどのような実績があるのか確認するほか、担当者に質問をしてみるなどが有効的です。
ノウハウを持っている業者であれば、隠すことなく質問に対して回答するため、担当者の対応や雰囲気なども参考にしてみてください。
制作・管理ともに実績があるか
ホームページの保守・管理の実績だけではなく、制作にも関わったことがあるかは重要なポイントです。
保守・管理をお任せするので、その点の実績が重要なことは当然ながら、ホームページ制作の実績もあると企業側の悩みや困りごとに寄り添った対応が期待できます。
ただ、制作の実績は多いが保守管理の実績は少ない、というのは不安感が残るので、どちらの実績も多いことが理想的です。
業者のホームページには、サポートや制作の実績が公表されている場合が多いため、確認してみましょう。
まとめ
以上ホームページの保守・管理について解説しました。
ホームページの運用は、非常に複雑で専門的な知識を必要とするため、自社で対応するよりも専門業者に依頼をした方がメリットは多いです。業者に依頼するメリット・デメリットのほか、実際に依頼する業者を選ぶポイントをよく理解し、自社のホームページを守り効果的に運用・保守を行うことが大切です。
この記事の監修者
永田達成
TATSUNARI NAGATA / 代表取締役
株式会社Soeluの代表取締役。1987年生まれ。福岡県出身。
2010年に大学卒業後、地元福岡のウェブ制作会社に営業として入社。
2019年に個人事業主として独立し、2021年に株式会社Soeluを設立。
現在は福岡を中心に東京・神奈川・大阪・名古屋・札幌など全国から多くのクライアント様とウェブを通して活動中。
永田達成の代表プロフィールはこちら
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