良いホームページを作るには制作会社のノウハウが豊富にあることは大切です。ですがそれだけあれば良いものが作れるわけではありません。企業側だけでなく仕事を依頼するこちらもそれ相応の準備が必要だからです。
今回はそうしたこちらで準備することについてお話しします。
ホームページの完成イメージを作る
まずはホームページ完成イメージを明確化しておく必要があります。
ホームページの完成イメージが大切な理由
ホームページの完成を明確にする理由は「イメージできていないものは、他者に伝えられない」からです。
ホームページの制作を制作会社へ依頼にするには資料を作成する必要があります。そうした資料には自分が思い描いているものを反映させる必要があるため、自分のイメージを明確しなければいけません。
またイメージを完成させておくのは「仕様を変更しない」という理由もあります。一度依頼したことを変更するのは、受注側も発注側にも面倒なことが多いです。そうしたことを防ぐためにもイメージは明確にしておく必要があります。
イメージがなかなかできないのであれば一度資料を作る
ですが「イメージがなかなか確立しない」こともあるでしょう。
その場合は今のイメージを一度資料に落とし込んでみるとよいです。資料に落とすのは自分が想像したイメージを、客観的に眺められるためです。客観視することで、脳内イメージで不足していた部分や曖昧なままだった部分がわかるようになります。
今のイメージで資料を作成して不足部分や曖昧な部分を修正してさらに資料を作る、そうしたことを何度か繰り返せば、完成イメージに近づいていきます。
完成イメージは複数人で作る
可能であれば完成イメージは複数人で作るようにしましょう。
一人の人間だと気づかないことが多いので、人を集めて取りこぼしが起きないようにします。また一人では良いアイディアが出なかったところもほかの人であれば良いアイディアが出る場合もあります。
ただし複数人で作業をする場合は、最終決定者を必ず選定してください。
人によっては意見が完全に対立してしまい、作業が進まなくなる場合があります。そうしたときに役立つのが最終決定者。対立する意見でどちらかにするのかを最終決定者が決めます。話し合いで解決するのは時間がかかるので、時間を節約するためにも最終決定者を決めておきましょう。
要件定義書を作る
ホームページの完成イメージが固まったら、今度は「要件定義書」を作成してください。
要件定義書とは
要件定義書とはホームページ制作をするのに必要な資料です。
ホームページのデザイン、内部機能、書きたい記事などを「要件」として書き込んだ資料になります。
企業側にホームページ制作を依頼する場合は、要件定義書をベースに価格や工数の見積もりがおこなわれます。そのため良いホームページを作るには、しっかりした要件定義書の存在が欠かせません。
要件定義書に書くもの
要件定義書には必ず記載しておかなければいけないことがいくつかあります。
その1つがホームページの概要です。「なぜホームページ制作をするのか?」「想定する顧客」「ホームページのデザイン」などをホームページ制作の根幹を概要として書くことになります。
特に気を付けてほしいのが「想定する顧客」についてです。顧客のイメージは基本的に発注側と受注側で異なります。そのため顧客という言葉を示してもそれぞれで違う相手をイメージする傾向にあり、イメージのずれを解消するためにも、顧客イメージは文字にして明確にしなければいけません。
2つ目は「KPIの設定」も大切です。
KPIは「Key Performance Indicators」のことで評価数値といっていいでしょう。
ホームページではホームページのPV数やお問い合わせ数などがKPIに用いられます。ホームページは制作したら終わり、ではありません。むしろ制作してからが本番です。制作したホームページが満足するパフォーマンスを発揮できているかどうかをKPIで評価します。
要件定義書の言葉に注意
要件定義書を作るときは使用する言葉にも注意が必要です。
「プログラム」という言葉一つとっても「ソースコードで実現する機能」と解釈することがあれば「機能全体の流れ」と解釈されてしまうことがあります。同じ言葉でも発注側と受注側で違う意味になってしまうと、後々大きなトラブルを生み出してしまうことになりかねません。
そうしたことを避けるためにも要件定義書宙で使用する言葉の意味を明確にして、各自で共有してトラブルを未然に防ぐようにしましょう。
ヒアリングについて
要件定義書を書くにはホームページの担当部門のみならず、経営陣やマーケティング部門、営業部門などからもヒアリングをするようにしてください。
ホームページ制作ではホームページ担当部門が主導で指揮をします。
ですがホームページ自体は担当部門以外にもマーケティング部門や営業部門、場合によっては経営陣も使用します。そのため彼らの意見をヒアリングして、要望をホームページにフィードバックしないと、使い勝手が低下したり必要な機能が作られなくなったりするので注意が必要です。
経営陣から要望や経営課題などを聞く
またヒアリングするときは経営陣から先に意見を聞くようにしてください。
そうするのは会社全体の課題を先に知るためです。ホームページ担当者に限らないのですが、社員の多くは日々目の前に課題を片付ける必要があるため、会社全体でどういった課題があるのかを知らないことも少なくありません。
たいして経営陣は会社全体の運営を考える役割があるので、会社全体で抱えている課題を把握しています。
そうした課題は優先して対応すべきものです。そのためヒアリングでは先に経営陣から要望や経営課題などを聞くようにします。
優先順位を付けて対応
経営課題や各自がおこないたいことなどをホームページから行いたいことをホームページに反映しますが、すべてを反映できないことは理解してください。すべて反映すると予算オーバーをする恐れがあるからです。そのため課題を聞き出したら、優先順位を設けて対応する必要があります。
とはいえほかの部門から「この課題を解決してくれないと困る」といわれることもあるでしょう。そうした場合は「ホームページを制作した後に対応する」などと伝えるようにしてください。
ホームページ制作であると便利なもの
必ず用意しないといけないものではありませんが、あると便利なものもありますので紹介します。
会社のパンフレット
会社のパンフレットがあれば必ず制作会社に提出してください。
理由は「ホームページを作る会社に自社のことを知ってもらうため」です。ホームページを作る主な目的は「自社のことを認知してもらう」ことにあります。言い換えれば、ホームページがないことは、世間だけでなくホームページを作る会社もまた自社のことをあまり知らないことになります。
良いホームページを制作するにはその会社の情報も欠かせません。
自社で作っている商品やサービスの特色に合わせて、ホームページのデザインや企画が構成されます。そのため自社の情報を十分に提供できないと、自社のイメージと相性の良くないホームページを作ってしまい、結果として思うような成果が出ないことがあります。
そうした事態を解消するために使用するのが「会社のパンフレット」です。ホームページがない状況下では、パンフレットの存在は自社を知る大きな手助けとなります。
参考となるホームページ
制作するホームページの内容は基本的に要件定義書に記載します。
とはいえすべてのことを伝えられるわけではありません。そうした書面では伝えきれないものがありましたら、参考となるホームページを提示することがおすすめです。
参考にするホームページを提示することで伝えられるものの1つは雰囲気です。
「きっちりと固いイメージ」「アットホームなイメージ」などホームページのイメージを要件定義書に記載することがあります。ですが雰囲気はあいまいなものであるため、伝え方もあいまいにならざるを得ません。
そのため「アットホームなイメージのホームページを作ってください」と伝えても、意図したアットホームなイメージのホームページが作られない場合があります。
参考ホームページで双方のイメージを一致
参考にするホームページがあれば、イメージの誤解を防ぐことが可能です。視覚的に共有できる情報があるため、双方のイメージを一致させやすくなります。
イメージカラーの指定も参考となるホームページを使うとより簡単に指定できます。
例えば青をホームページのメインカラーにするとしましょう。一言に青といっても薄い青や濃い青、ダークフタロブルーやコバルトブルーなど様々な種類があります。正確な色を口頭ないし文章で伝えるのは困難ですので、この場合も、その色を使用しているホームページを提示したほうが簡単に理解してもらえます。
自社の強み
自社の強みをあらかじめ調査して準備しておくとホームページ制作の大きな助けとなります。
強みは自社のセールスポイントでもあるため、そこをアピールしていくことは商売の基本です。ですが「自社の強みがどこにあるのかよくわからない」こともあるでしょう。そうした場合は「比較してわかる強み」を探すようにしてください。
強みは大きく分けて「絶対的な強み」と「比較してわかる強み」の2つがあります。絶対的な強みとは誰が見てもわかる強みのことです。業界ナンバーワンといわれる企業は絶対的な強みを持っているといってよいでしょう。
比較してわかる強みを持つ
「比較してわかる強み」とは他者と比較したことでわかる強みのことです。ナンバーワンといえるほどではないけれど、ほかの企業と比較すると特定の分野で強みがあると判明した場合、その特定の分野が「比較してわかる強み」となります。
強みと聞くと大抵は「絶対的な強み」をイメージしますが、その絶対的な強みを持っている企業はほとんどいません。そのため世間にアピールする強みは必然的に「比較してわかる強み」となります。
比較してわかることなので、強みを知るためには必ず他社の状況を調査しなければいけません。
「ホームページにアピールできる強み」がわからないときは、他社との比較調査が足りないことになりますので、他社を調べて自社と比較し、自社のどこが優れているのかを把握するようにしてください。
ホームページの周辺機器の準備
ホームページ制作ではホームページ周辺機器についても準備する必要があります。
ドメイン
ホームページ制作をするときはドメインも準備しないといけません。ドメインとはインターネット上のアドレスのことです。ユーザーはドメインを指定することでホームページにたどり着きます。
現在は検索エンジンを使って検索することが主流なので、基本的にドメインを直接入力することはあまりありません。それでもドメインはなるべくわかりやすい名前にした方が良いです。
インターネットにはドメインが履歴として残り、それをもとに指定のサイトへ移動する機能があります。もしもドメインをわかりにくい名前にしていると、履歴からなかなか見つけられなくなり、自社のホームページへアクセスする機会を損なう恐れがあります。可能であればわかりやすいドメインをつけるようにしましょう。
レンタルサーバー
ホームページ制作ではサーバーについても決めておく必要があります。サーバーはホームページを動かすときの土台です。土台であるため、いい加減にサーバーを選んでしまうと、後々公開することもあるので気を付けてください。
サーバーには「共有サーバー」や「専用サーバー」「クラウドサーバー」など色々な種類があります。
専用サーバーは自由にカスタマイズできたり、クラウドサーバーは容量を自由に変更できるなどサーバーごとに特色があります。ホームページの運用方法と相性の良いサーバーが何かを調べるようにしてください。
まとめ
福岡は優秀なウェブ系の会社が多いですが、彼らにすべてを任せるわけにはいきません。
良いホームページを作るには完成イメージを明確にしたり、必要事項がしっかりと記載されている要件定義書を作成したりとこちらでも準備することがあります。これからホームページ制作をするときはそうした準備をしっかり行うようにしてください。
この記事の監修者
永田達成
TATSUNARI NAGATA / 代表取締役
株式会社Soeluの代表取締役。1987年生まれ。福岡県出身。
2010年に大学卒業後、地元福岡のウェブ制作会社に営業として入社。
2019年に個人事業主として独立し、2021年に株式会社Soeluを設立。
現在は福岡を中心に東京・神奈川・大阪・名古屋・札幌など全国から多くのクライアント様とウェブを通して活動中。
永田達成の代表プロフィールはこちら
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