「ホームページは作ったけれど、問い合わせがほとんど来ない」「アクセス数はあるのに、売上につながらない」このような悩みを抱える経営者は少なくありません。企業のホームページ保有率は非常に高い水準に達していますが、その多くが期待した成果を得られていないのが現実です。
なぜこのようなギャップが生じるのでしょうか。それは、多くの企業が「ホームページを持つこと」自体を目的にしてしまい、「ホームページで何を達成したいか」という本質を見失っているからです。
本記事では、ホームページが成果を生まない根本的な原因を明らかにし、それを解決するための具体的な改善策を解説します。さらに、今すぐ実践できる段階的なアクションプランも紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
ホームページを作っただけでは効果が出ない3つの理由
企業がホームページ制作に投資したにもかかわらず、期待した効果が得られない背景には共通する問題点があります。
「今の時代、ホームページくらいは必要」という漠然とした動機で制作を進めた結果、本来の目的を見失い、ただ存在するだけのサイトになってしまうケースが後を絶ちません。多くの企業が陥りがちな3つの根本的な問題を詳しく見ていきましょう。
目的とターゲット設定がないまま制作してしまうから
ホームページ制作の最初の段階で最も重要なのは、「誰に」「何を」伝えたいのかを明確にすることです。しかし、多くの企業がこの基本的な設定を曖昧にしたまま制作を進めてしまいます。
例えば、「高品質なサービスを提供します」といった抽象的なメッセージでは、訪問者の心に響きません。30代の子育て世代に向けたサービスなのか、シニア層を対象としているのか、BtoB企業向けなのか。
ターゲットによって、伝えるべきメッセージも、デザインの方向性も大きく変わってきます。
また、ホームページの目的も不明確なケースが多く見られます。新規顧客の獲得、既存顧客へのサポート、採用活動の強化など、目的が定まっていないと、コンテンツが散漫になり、結果として誰にも響かないサイトになってしまいます。
万人受けを狙ったメッセージは、結局誰の心にも届きません。明確なターゲットと目的設定こそが、効果的なホームページの第一歩となります。
公開後の更新や運用体制を考えていないから
ホームページは「作って終わり」ではありません。むしろ、公開してからが本当のスタートです。しかし、多くの企業が制作時の予算は確保しても、その後の運用については考慮していません。
更新が止まったホームページは、訪問者に「この会社は今も営業しているのだろうか」という不安を与えます。最新情報の日付が数年前のままでは、企業の信頼性も損なわれてしまいます。
さらに、検索エンジンも定期的に更新されるサイトを高く評価する傾向があります。つまり、更新を怠ることで、SEO的にも不利な状況に陥ってしまうのです。
運用体制の問題も深刻です。誰が更新を行うのか、どのくらいの頻度で更新したら良いのか、更新内容は誰が決めるのか。
こうした体制が整っていないと、結局誰も手を付けられない「放置サイト」になってしまいます。社内に専任担当者を置くのが難しい場合は、外部の運用サポートを活用することも選択肢の一つです。
見た目だけを重視してユーザビリティを軽視するから
「おしゃれなデザインにしたい」「競合他社よりも目立つサイトにしたい」という要望は理解できます。しかし、デザインの美しさと使いやすさは必ずしも一致しません。
凝ったアニメーションで表示が遅い、文字が小さくて読みにくい、メニューがどこにあるか分からない。こうしたサイトでは、訪問者はストレスを感じてすぐに離脱してしまいます。
特に問題なのは、スマートフォンでの表示を考慮していないケースです。現在、多くのサイトでスマートフォンからのアクセスが過半数を占めています。PC版だけを想定したデザインでは、大切な訪問者を逃してしまうことになります。
ユーザビリティの本質は、訪問者が求める情報にストレスなくたどり着けることです。どんなに美しいデザインでも、使いにくければ意味がありません。デザインは情報を効果的に伝えるための手段であることを常に意識しておく必要があります。
成果を生む戦略的なサイト設計
ただ存在するだけのホームページから脱却し、実際に成果を生み出すサイトへと変革するには、戦略的な設計が不可欠です。
訪問者の行動を予測し、自社の強みを最大限に活かしながら、明確なゴールへと導く仕組みづくりが求められます。ここでは、成果を生むサイト設計の具体的な手法を解説していきます。
競合分析で見つける自社の強み
効果的なホームページを作るためには、まず競合他社のサイトを徹底的に分析することから始めましょう。
同業他社がどのような情報を発信し、どのような訴求をしているのかを把握することで、自社の立ち位置が明確になります。
競合分析では、デザインの優劣だけでなく、コンテンツの内容、ターゲット層、価格訴求の方法、お客様の声の見せ方など、多角的な視点で比較することが重要です。例えば、競合が技術力を前面に出しているなら、自社は顧客サポートの手厚さで差別化できるかもしれません。
また、検索エンジンで上位表示されている競合サイトは、どのようなキーワードで対策しているのかも調査しましょう。これにより、市場で求められている情報や、まだ満たされていないニーズが見えてきます。
重要なのは、競合の真似をすることではありません。競合分析を通じて自社の独自性を発見し、それを訪問者に伝わる形で表現することです。
1クリックで目的達成できる導線とCTA配置
訪問者がサイトに来た瞬間から、次に取るべき行動が明確でなければなりません。理想は、トップページから目的のページまで1クリックでたどり着ける構造です。
例えば、問い合わせを増やしたいなら、すべてのページに分かりやすい問い合わせボタンを配置します。ただし、単に「お問い合わせ」と書くだけでなく、「無料相談はこちら」「30秒で簡単見積もり」など、訪問者にとってのメリットを明示することが大切です。
CTA(Call To Action)ボタンの配置場所も重要です。ページの最上部と最下部だけでなく、コンテンツを読み進める途中にも自然な形で配置することで、訪問者が行動を起こしやすくなります。
また、フォームの項目数も成果に大きく影響します。必須項目は最小限に抑え、任意項目として追加情報を求める方が、フォーム完了率は向上します。導線設計の基本は、訪問者の気持ちになって考えることです。
スマホ対応とページ速度の最適化
現代のウェブサイトにおいて、スマートフォン対応は選択肢ではなく必須条件です。多くの業種で、スマートフォンからのアクセスが全体の60%以上を占めるようになっています。
レスポンシブデザインの採用は基本中の基本ですが、単に表示が崩れないだけでは不十分です。スマートフォンの小さな画面でも、ボタンが押しやすい大きさか、文字は読みやすいサイズか、横スクロールは発生していないか、細部まで確認が必要です。
ページの表示速度も極めて重要な要素です。表示に3秒以上かかるサイトでは、訪問者の半数以上が離脱してしまうという調査結果があります(出典:Google「Find Out How You Stack Up to New Industry Benchmarks for Mobile Page Speed」)。
画像の圧縮、不要なスクリプトの削除、キャッシュの活用など、技術的な最適化を行うことで、表示速度は大幅に改善できます。実際、ページ速度を改善しただけで、コンバージョン率が向上したという事例も多数報告されています。
訪問者の行動を予測したユーザーフロー設計
効果的なホームページは、訪問者の行動パターンを予測し、それに沿った情報設計がなされています。単にページを並べるのではなく、訪問者の心理状態や情報ニーズの変化を考慮した設計が必要です。
例えば、初めて訪れた人は、まず「この会社は信頼できるか」を確認したいはずです。そのため、トップページには実績や資格、お客様の声などの信頼性を示す要素を配置します。次に「自分の課題を解決できるか」を知りたくなるので、サービス内容や解決事例を見やすく配置します。
また、訪問者の属性によっても行動パターンは異なります。既存顧客はサポート情報を求めているかもしれませんし、求職者は採用情報を探しているでしょう。それぞれのニーズに応じた入り口を用意することで、満足度が向上します。
ユーザーフローを設計する際は、実際の顧客の声を参考にすることも重要です。訪問者の立場に立った情報設計こそが、成果を生むホームページの基盤となります。
検索で見つけてもらうためのSEO対策
どんなに優れたホームページを作っても、検索エンジンで見つけてもらえなければ意味がありません。
現代のビジネスにおいて、検索エンジン経由の集客は極めて重要な要素となっています。ここでは、制作段階から意識すべきSEO対策と、継続的な運用方法について解説します。
制作段階から組み込むSEOの基本設計
SEO対策は、サイト公開後に行うものではありません。制作段階から意識的に組み込むことで、より効果的な対策が可能になります。
適切なキーワード選定
自社のサービスを探している人が、どのような言葉で検索するかを調査し、それらのキーワードを自然な形でページ内に配置します。ただし、キーワードの詰め込みすぎは逆効果です。
タイトルタグとメタタグの最適化
タイトルタグは検索結果に直接表示されるため、クリック率に大きく影響します。32文字程度で、キーワードを含みながら訪問者の興味を引く文言を設定しましょう。
URL構造の整備
日本語URLは避け、内容が推測できる簡潔な英語表記にすることで、検索エンジンにもユーザーにも分かりやすいサイトになります。
構造化データの実装
FAQ形式のコンテンツには専用のマークアップを施すことで、検索結果に直接Q&Aが表示されることもあります。
定期的に更新できるコンテンツ計画
SEO対策において、コンテンツの定期的な更新は極めて重要です。しかし、「毎日更新しなければ」とプレッシャーを感じる必要はありません。大切なのは、無理のない範囲で継続できる計画を立てることです。
現実的な更新頻度の設定
まずは、月に2〜4本程度の記事更新から始めてみましょう。自社の専門分野に関する有益な情報、よくある質問への回答、事例紹介など、訪問者にとって価値のある内容を心がけます。
コンテンツカレンダーの作成
季節性のあるトピックや業界の動向に合わせた記事を計画的に準備します。税理士事務所なら確定申告の時期に合わせた記事、建設会社なら梅雨対策の記事など、タイミングを意識したコンテンツは検索需要も高くなります。
既存コンテンツの更新
古い情報を最新のものに更新したり、より詳しい内容を追記したりすることで、検索エンジンからの評価も向上します。新規作成だけでなく、既存記事のメンテナンスも重要です。
質を重視したコンテンツ作成
薄い内容の記事を大量に作るよりも、訪問者の課題を解決する充実した記事を着実に増やしていく方が、長期的には大きな成果につながります。
アクセス解析を活用したPDCA運用
ホームページの改善には、推測や感覚ではなく、データに基づいた判断が不可欠です。Googleアナリティクスなどのアクセス解析ツールを活用することで、訪問者の行動を詳細に把握できます。
基本指標の確認
どのページがよく見られているか、どこから訪問者が来ているか、どのページで離脱しているかといった基本的な指標をまず把握します。特定のページで離脱率が高い場合、そのページに問題がある可能性があります。
コンバージョン分析
問い合わせや購入などのコンバージョンに至った訪問者の行動パターンを分析します。どのページを経由してコンバージョンに至ったかを把握し、その導線を強化することで成果の向上が期待できます。
検索キーワードの把握
どのようなキーワードで訪問されているかを把握し、そのキーワードに関連するコンテンツを充実させることで、さらなる集客が可能になります。
PDCAサイクルの実践
月次でデータを確認し、改善施策を実施、その結果を検証するというPDCAサイクルを回すことで、着実に成果は向上していきます。データに基づく継続的な改善が成功の鍵です。
プロの伴走支援を受けてより強固な体制を
SEO対策やサイト運用は、専門知識と継続的な取り組みが必要な分野です。社内にリソースが不足している場合は、プロフェッショナルの支援を受けることも重要な選択肢となります。
専門家の支援を受けるメリットは、最新のSEOトレンドに対応できることです。検索エンジンのアルゴリズムは日々更新されており、昨日まで有効だった手法が今日は通用しないこともあります。専門家は常に最新情報をキャッチアップし、適切な対策を提案してくれます。
また、客観的な視点でサイトを分析してもらえることも大きなメリットです。社内では気づかない問題点や改善の可能性を指摘してもらえることで、新たな成長の機会が生まれます。
費用面でも、月額固定のサポートサービスを利用すれば、都度の改修費用を気にすることなく、計画的な運用が可能になります。重要なのは、丸投げではなく「伴走」してもらうことです。自社の強みや特性を理解し、一緒に成長を目指すパートナーを見つけることが成功への近道となります。
今すぐ始められるホームページの改善アクション
ここまで読んで「改善の必要性は分かったが、何から手を付ければよいか分からない」と感じている方も多いでしょう。
そこで、緊急度と重要度に応じて、段階的に実施できる具体的な改善アクションを提示します。完璧を求めすぎず、できることから着実に始めることが大切です。
【今すぐ】リンク切れ・古い情報を修正
まず1週間以内に対応すべきは、サイトの信頼性を損なう基本的な問題の修正です。これらは技術的な知識がなくても、すぐに改善できる項目です。
リンクチェックの実施
無料のリンクチェッカーツールを使用して、サイト内のすべてのリンクを確認しましょう。特に外部サイトへのリンクは、相手サイトの都合で切れることがあるため要注意です。
基本情報の更新
営業時間、料金、住所、電話番号などの基本情報が最新かどうか確認します。特に価格改定や営業時間の変更は、古い情報のままだとクレームの原因になりかねません。
期限切れ情報の整理
過去のキャンペーン情報やイベント告知がそのまま残っていないかチェックし、「終了しました」と追記するか、アーカイブページに移動させます。
【1ヶ月】フォーム改善・導線見直し
次の1ヶ月で取り組むべきは、コンバージョン率に直接影響する要素の改善です。特に問い合わせフォームと導線の見直しは、比較的短期間で成果が期待できる施策です。
フォームの最適化
問い合わせフォームの項目数を見直し、必須項目を最小限に絞り込みます。本当に必要な情報は何か、後から聞けることは何かを整理しましょう。
エラーメッセージの改善
エラーメッセージも分かりやすく、どこを修正すればよいか明確に示すようにします。技術的な用語は避け、利用者目線の表現を心がけます。
メニュー構成の見直し
サイト内の導線を改善するため、メニュー構成を見直します。専門用語ではなく、訪問者が理解しやすい言葉を使い、階層も深くなりすぎないよう注意しましょう。
CTAボタンの改善
「詳しくはこちら」という曖昧な表現ではなく、「無料で相談する」「資料をダウンロードする」など、具体的な行動を促す文言に変更します。また、スマートフォンでの表示も必ず確認しましょう。
【3ヶ月】SEO強化・コンテンツ拡充
3ヶ月のスパンで取り組むべきは、より本格的なSEO対策とコンテンツの拡充です。これらは即効性は期待できませんが、中長期的に大きな成果をもたらす重要な施策です。
現状の把握と分析
まず、自社サイトの現在の検索順位を把握しましょう。重要なキーワードでどの程度の順位にいるのか、競合と比較してどうなのかを調査します。
コンテンツ計画の策定
自社の専門性を活かした記事を月に2〜4本程度、継続的に追加する計画を立てます。よくある質問をまとめたFAQページ、サービスの活用事例、業界の最新動向など、訪問者にとって有益な情報を提供しましょう。
SEO最適化の実施
既存ページのタイトルタグ、メタディスクリプション、見出しタグが適切に設定されているか確認し、必要に応じて修正します。画像にはalt属性を設定し、検索エンジンが内容を理解できるようにしましょう。
内部リンクの強化
関連するページ同士を適切にリンクすることで、訪問者の回遊性が高まり、検索エンジンからの評価も向上します。
ホームページを「効果的な営業ツール」に変えるために
ここまで、ホームページが成果を出さない原因から、具体的な改善方法まで詳しく解説してきました。重要なのは、ホームページを単なる「会社案内」ではなく、24時間365日働く「営業ツール」として捉え直すことです。
効果的なホームページは、見込み客を引き寄せ、信頼を構築し、行動を促す一連のプロセスを自動化します。そのためには、戦略的な設計、継続的な改善、そして何より訪問者視点での価値提供が不可欠です。
すべてを一度に改善する必要はありません。まずは今すぐできることから始め、段階的に改善を重ねていくことが大切です。リンク切れの修正という小さな一歩が、やがて大きな成果につながっていきます。
もし自社だけでの改善が難しいと感じたら、専門家の力を借りることも選択肢の一つです。重要なのは、現状に甘んじることなく、改善への第一歩を踏み出すことです。
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この記事の監修者

永田達成
TATSUNARI NAGATA / 代表取締役
株式会社Soeluの代表取締役。1987年生まれ。福岡県出身。2010年に大学卒業後、地元福岡のウェブ制作会社に営業として入社。2019年に個人事業主として独立し、2021年に株式会社Soeluを設立。現在は福岡を中心に東京・神奈川・大阪・名古屋・札幌など全国で多くのクライアント様のウェブを支援。
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