オウンドメディアは運用することで多くのファンを獲得して、価格競争などに負けない集客の強みを得られるなど、さまざまなメリットがあります。
しかしその反面、オウンドメディアの失敗が企業ブランディングの失敗に直結し、中小企業では多くの失敗例を生み出しているのです。そこで、オウンドメディアを作って集客するメリットや逆に失敗要因となるデメリット、日本で失敗が多い理由とその回避方法について紹介します。
オウンドメディアの概念
オウンドメディアとは“Owned media”という欧米由来のマーケティング手法によるメディアのことです。ようするに、意味的には「自社の所有するサイト」です。
広義の意味ではオウンドメディアはホームページやパンフレットなどを含めて全部ということになります。
しかし、実はオウンドメディアが世界的に流行したのは、広義ではなく狭義の意味でのオウンドメディアのことを指します。つまり、ブランディングを可能とするオウンドメディアです。そのため、通常の自社ホームページとは区別してオウンドメディアをブログなどで立ち上げるケースがよくあるのです。
オウンドメディア以前の広告手法
オウンドメディアを活用することが流行する前は、アーンドメディアやペイドメディアが一般的な宣伝方法としていた時期があります。
アーンドメディアとは、SNSやWEBの個人ブログ、動画などで商品を宣伝するメディアです。ペイドメディアは、テレビのコマーシャルや新聞の広告欄、WEB広告など企業側が消費者に一方的に宣伝する方法です。
アーンドメディアの場合、インフルエンサーに宣伝を依頼するなど、インスタグラマーやユーチューバーの需要が高まっています。
オウンドメディアは即物的な利益を求めない
オウンドメディアは、誤解された意味でマーケティング手法が伝搬したことで、国内でも広義の意味で使ってしまう人が続出しており、本来の狭義の意味のオウンドメディアが運営されていないという問題があります。
それは後ほど失敗する理由で説明するとして、本来の意味でのオウンドメディアは、即物的な利益をすぐに求めないメディアとして運営されます。
なぜ、すぐに利益を求めてはいけないかといえば、そのような利益重視のサイトはただの宣伝サイトやサテライトサイトとして信用を失うだけだからです。
有益な情報を出すことに意味がある
顧客に商品を買うことだけを求め、有益な情報を出さないコンテンツがあったら、ほとんどの人はそのサイトを信用できないでしょう。
WEB業界ではすでに深刻化しているように、多くのユーザーは、WEB広告を信用しておらず、むしろ邪魔なものとして嫌悪する傾向にあります。これはアメリカのアンケート調査結果でも明らかになっています。
アフィリエイトサイトや巷にあふれるサイトとは一線を画す、そんな企業のブランドイメージを牽引できるような強力なコンテンツサイトをオウンドメディアでは作る必要があるのです。
ファンを作り出す
オウンドメディアの目的としては、潜在顧客を集めて見込み顧客にし、ファンになってもらうことです。
さらに、定期的なコンテンツの提供でファンを育成して、最終的に自社だけの商品を優先して購入するリピーターとなる顧客を生み出すことです。
オウンドメディアを作る4つのメリット
オウンドメディアを始め、運用し続けることで得られるメリットは以下の4つです。
広告などの莫大な費用がかからない
オウンドメディアでは、自社所有のメディアを使用するという点から広告費用などがかかりません。
つまり、オウンドメディアの運営は、テレビのコマーシャル費用で1本が億単位を超えるような広告費用をかけずに、少しのメディア運営コストのみで続けられることです。WEB広告にも少なからず出稿費用がかかるため、オウンドメディアで集客する意味としても大きなメリットをもたらすのです。
ただし、利益回収が直ぐにできない場合もあるため、必要に応じてマネタイズや経営者のプレゼン・説得が必要です。
ブランディングで一度付いたファンは離れにくい
オウンドメディアはブランディングを成功させることで、ファンがつきやすくなり、ブランドの力で付いたファンは簡単に離れたりしません。
例えば、ヴィトンの高級バッグや飲料のコカ・コーラ社のコーラ飲料など、ブランドとして定着したファンはそのメーカーの商品を好んで使用(飲食)します。
しかし、大手企業のように大々的な広告で宣伝をしてより大勢の人の中から少ないファンをそのまま得るという戦略が取れないため、中小企業はオウンドメディアを使ってファンを獲得するという方法が最近では用いられているのです。
価格競争から抜け出せる
見込み顧客やファンによるリピート購入は、自社での購入によるLTV(生涯顧客価値)を高めるだけでなく、物販などではスーパーや通販で起こりやすい安売り激化で受ける影響を最小限にできます。
自社のファンは多少の価格競争が起きても他社では買わず、自社の独自商品(差別化したサービス)を購入するようになります。
そのため、ファンやリピーターが多いほど、価格競争の影響が下がります。もちろん、新規顧客を集めるのも重要なため、価格競争の影響をすべて排除することはできませんが、この先、価格競争を仕掛けられた場合などに、ファンを得ておくことで事業存続や売上・利益向上の要因となりうるのです。
自社独自の製品やノウハウの情報を最大限活かせる
オウンドメディアは、一般的な情報をただコンテンツにして配信するのではなく、自社独自の製品やノウハウの情報を押し出して、そこでしか得られない情報からファンとなり得る潜在顧客を増やします。
その過程で、コンテンツを通じた顧客育成も可能となっており、良質なコンテンツであるほど相互的な効果が見込めるのです。
例えば、缶詰の会社なら、「缶詰の製造工程」や「缶詰の素材の知識」、「料理方法」などをオウンドメディア化することで、特定の客層を集めファンにすることができます。
そして、ファンを生み出すコンテンツはそれ自体が続けることで資産を形成します。自社メディアでコンテンツを蓄積することそれ自体が一つの資産というわけです。他に不動産やノウハウの資産がないという場合にもオウンドメディアは重要な役割を果たすでしょう。
オウンドメディアを運用する2つのデメリット
オウンドメディアのデメリットはいくつかあります。以下にデメリットを説明します。
効果が出るまで時間がかかる
まず、効果が出るまでオウンドメディアは時間がかかる長期的な戦略であるという点です。先に述べた即物的な利益を求めないことは、このオウンドメディアのデメリットとも関係が深いといえます。
オウンドメディアはすぐに効果を出せるテレビやWEB広告、SNSの紹介などとは違って、潜在顧客を取り込んでそれを見込み顧客にし、ファンにするという長期間の戦略性をもとに運用されます。つまり、短期間で成果を出す場合にはデメリットといえるのです。
途中でやめられない
一度オウンドメディアを運用することを始めたら、途中でやめられないというデメリットもあります。これは、途中で中途半端にオウンドメディアを止めてしまうことによって、ブランディングに失敗するどころか、修正が不可能なくらいブランドイメージが下がる可能性もあるためです。
マーケティング・SEO業者も中には「何度でも挑戦したいだけすれば良い」と気軽にいう人もいますが、実際に失敗した中小企業はすぐにオウンドメディアを再開してもなかなかブランディングが成功しないどころか、マイナスイメージが強まることがわかっています。
以前のイメージというのは、それだけブランディングにとって大きな失敗に映るわけです。ブランドは信頼があって成り立つことからも下手に扱えないため、始めてしまったら最後までやり通す覚悟をもたないといけません。これが安易に始められない理由でありデメリットです。
オウンドメディアが日本で失敗する理由
最後に、なぜオウンドメディアが日本で失敗しやすいのか、その理由について説明します。最初にも述べたように、オウンドメディアは日本だと広義の意味で理解されてしまい、第三者が解釈を繰り返すうちに、意味が平たくなり、戦略がかなりいい加減なものとして伝わっています。
失敗例として、自社イメージとまったく一致しないテーマ(コンテンツ内容)を選ぶケースがあります。しかもそれを外注化し、SEO対策までして、無関係の人間がコンテンツ作成することでオウンドメディアの意味を相当に薄れさせます。
この方法では、ブランドが傷つくだけになるのですが、外注事業では、オウンドメディアの依頼がかなり氾濫しています。それを確認するだけでも十分に日本で失敗の種が多いことを如実にあらわしています。作るのはあくまでも自社であり、業者はスターティングや運用のサポートに回るべきなのです。
さらに、ネット上のブログコンテンツにだけ頼って、内容はありきたりなものばかりでは、読者も見込み顧客も去ります。
オウンドメディアとしての成功例
欧米で成功しているオウンドメディアでは、イベントなどを積極的に開催します。あるいは、よほどの独自性があって初めてWEB(記事や動画)オンリーでオウンドメディアとして成功します。
しかし、日本での焼き増し手法では、独自性がないだけでなく、自社のオリジナルでもないため、ファンがつきにくく、オウンドメディアを運営しても効果が得られず、そのうちオウンドメディア運営を断念してしまうという構図があるのです。
これらの失敗を回避するためには、オウンドメディアに詳しい専門の業者に依頼して作成を十分にサポートしてもらうか、手法だけを真似た型通りの方法にならないように、自社の事業を十分に見つめ直してブランディングを計画する必要があります。
オウンドメディアを使って信頼関係の強いファンを生み出そう
以上が、オウンドメディアを作って集客する意味やその方法としてのメリット・デメリット、日本での失敗パターンなどです。オウンドメディアは、自社で資産として構築しやすいメディアであり、ファンを生み出します。
しかし、日本では成功例が増えておらず、大手メディアの運営がそのままオウンドメディアに切り替わっただけなど、自社独自の成功をなかなか収められないという負の面があります。
そのため、メディア作りのノウハウがない会社や個人は、運用を含めて専門の業者にバックアップしてもらうと始めやすいでしょう。
オウンドメディアサイトの運営が得意な会社紹介
- 1年で検索流入約34倍 獲得件数約47倍の実績
- 中長期的な戦略と仕組み化で着実かつ堅実な運用を支援
弊社オウンドメディアサイトの制作事例
フリーペーパーナッセとはまた違った内容のコンテンツを発信することで、更なるサービスの提供を。その他にもゴチデパやナッセナビなど多数のメディアと連携して九州の情報を全国に広めていくオウンドメディアサイトです。
この記事の監修者
永田達成
TATSUNARI NAGATA / 代表取締役
株式会社Soeluの代表取締役。1987年生まれ。福岡県出身。
2010年に大学卒業後、地元福岡のウェブ制作会社に営業として入社。
2019年に個人事業主として独立し、2021年に株式会社Soeluを設立。
現在は福岡を中心に東京・神奈川・大阪・名古屋・札幌など全国から多くのクライアント様とウェブを通して活動中。
永田達成の代表プロフィールはこちら
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