インターネットが登場して検索エンジンが生まれてから、SEOはさまざまなやり方をする業者や法人企業、個人などが登場します。
しかし、SEO激動の時代として、2010年代の大型アップデートのように、多くの人を翻弄することになることは予想できない事態だったことは間違いありません。そして、グーグルを中心にした検索エンジンアルゴリズムの進化には理由があります。
それが、ユーザーの利便性向上とブラックハットSEOの排除です。
最近では、デバイスやUIへの適応なども加えた変化が増えており、日本特有の社会事情なども反映した日本だけのアップデートも起こるなど、SEOは変化し続ける業界といえます。
そこで本記事は、SEOの歴史的なコラムとして今までのアップデートやその内容について、アップデートの種類を歴史的な観点から説明します。これを読めば、SEOのやり方に対する変化についてよくわかるでしょう。
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SEOにおける検索エンジンアップデートの歴史
1990年に世界で初めて検索エンジン「Archie」が登場し、クライアントサーバシステムによってユーザーに検索情報をディレクトリ型で提供したことで始まったのがSEOです。
その後、1990年代には数々の検索エンジンが誕生し、有名なヤフーやグーグルもこの時期に初期の検索エンジンを搭載して、事業を開始しています。
特に注目すべきは、ヤフージャパンの検索エンジンに入れたアルゴリズムです。
当初は、goo型やグーグルなどを採用していましたが、途中で独自のアルゴリズムに切り替えています。しかし、アルゴリズムのアップデートに対して、自社だけでカバーしきれなくなります。
そこで、再びグーグルのアルゴリズムをもう一度採用したのです。以降は、日本で使われる検索エンジンの大半がグーグル検索エンジンアルゴリズムを基準としたものとなったのです。
つまり、SEOにおける検索エンジンアップデートは、基本的にグーグルのアップデートを追うことを意味します。そして、2010年代には大型アップデートが複数回行われており、企業やSEO業者は早急な対応を迫られたのです。
ビッグダディ・アップデートまでの変化(2000年前半)
グーグルのアップデートで鮮烈な変化をもたらしたのが2005年の「ビッグダディ・アップデート」までの変化です。
ビッグダディ・アップデートでは価値の低いスパムコンテンツの一部が取り除かれますが、それより前にさまざまな変化が起こり、SEOの概念が全く異なるものへと移っています。
例えば、ビッグダディ以前にも2003年にインデックスデータの更新に対応した「ボストン・アップデート」、リンクチェックを強化した「カサンドラ・アップデート」、スパムリンクへの取締を強化した「ドミニク・アップデート」、毎月から毎日のデータ更新に変化「エスメラルダ・アップデート」、さらなる更新頻度を増加した「フリッツ・アップデート」、悪質なキーワード対策・単語羅列に対する取締の「フロリダ・アップデート」があります。
さらに2004年には、隠しキーワードの排除と権威性を重視した「オースティン・アップデート」、類語関連の認識とリンク、アンカーテキストを評価改善した「ブランデー・アップデート」、2005年にリンク先のインデックスをしない指示を出すなどHTMLの属性を設定した「ノーフォロー・アップデート」など、グーグルのアルゴリズムは大小さまざま変化が見られます。
ヴィンス・アップデート
現在のあり方に近いアップデートとして、2009年の「ヴィンス・アップデート」があります。ページランクやオーソリティ、トラスト、レピュテーションなどを踏まえた検索順位の決定やブランド力に優れたサイトの上位表示が見られるようになった変化です。
ちなみに、ページランクは、被リンクや引用などを指標としてページを評価する方法です。それぞれ0~10のランクに分かれていて、11段階あります。
オーソリティ“Authority”は「権威」を意味し、特定ジャンルで信用のある情報源として用いられていることを示す指標です。質の高いリンクを得ているとも言い換えられます。
トラストは“trust”の「信頼性」で、価値の高いサイトのドメインに与えられる指標でオーソリティがページごとだったのに対し、ドメインを対象とします。そして、トラストランクに優れたサイトは、そのリンクも質が高いと判断するものです。
レピュテーションは“reputation”の「評判」を意味し、批判や誹謗中傷などのサイトの順位を下げるような上位表示基準とは逆の指標といえます。これらを総合的に判断するようになったのが2009年からというわけです。
メーデー・アップデート
ニッチキーワードを重視してページが上位表示されるように変化したのが2010年の「メーデー・アップデート」です。いわゆる複合キーワードとして表示されるロングテールキーワードの検索に対して、上位表示しやすくなったアップデートとなります。
例えば、「黒豆」というキーワードは、ビッグワードで強いサイトがそのまま表示されていました。
ですが、キーワードに「黒豆 通販 最安値」のようにロングテールに特化したサイトがあれば、「黒豆」単独では検索上位になくてもロングテールキーワードで上位表示されるようになったのです。
カフェイン・アップデート
世代交代とまでいわれるアップデート前後で、全くシステムの異なるインデックスのバックグラウンドと検索エンジンの表示反映が行われたのが2010年の「カフェイン・アップデート」です。
これまではインデックスに数週間かかっていたため、新しいWEBサイトの更新に時間がかかりすぎるというデメリットがあったといえます。
そこで、主にページインデックスの処理速度を大幅にアップし、莫大な情報量を検索エンジンが集積します。それにより精度の高い情報の提示と検索結果を実現したアップデートです。
人によっては、ビデオテープからDVD並みの技術的な変化と称される大きな改革ともいわれており、1データーベースで数十GB単位情報が更新され、2010年前後の検索エンジンは大きな転換点を迎えます。
スクレイパー・アップデート
検索順位の中で、ミラーサイトやコピーコンテンツを規制して上位表示させない(ペナルティにする)ようにしたアップデートが2011年の「スクレイパー・アップデート」です。
ようするに、コピペして制作されたサイトのように問題のあるページを評価しない仕組みを強化したといえます。
パンダ・アップデート
大規模アップデートでは、質の低いコンテンツを上位表示しないようにしたアルゴリズムの変化として2011年の「パンダ・アップデート」があります。
2010年代に繰り返し起こる検索エンジンの大規模なアップデートの中でも最初に位置する革命的な変化です。
特に自動生成コンテンツやミラーサイトコンテンツ、不適切な広告のあるページなどを対象に順位を下げるようになり、SEOで上位表示だけを目指した低品質コンテンツが多くペナルティを受けて、上位から排除されています。
ペンギン・アップデート
2010年代でパンダ・アップデート以上にWEB・SEO業界で話題となったのが2012年の「ペンギン・アップデート」です。
それまでは、外部被リンクを積極的に行い、サテライトサイトを構築して、ページのランクを上げ、検索順位を引き上げるという手法が広く普及していたのです。
しかし、ペンギン・アップデート実行後に外部被リンクで上げていた上位表示のページは軒並み順位を落とし、質の低い外部被リンクでは上位表示が難しくなります。
2012年4月に最初のバージョンがアップデートされ、それ移行も2016年まで繰り返しバージョンが更新されて、自動でスパム認定がされるようになり、サイトやページ単位だけでなく、細かくリンクに対しての評価を出せるようになったのもペンギン・アップデートによるものです。
実質的にペンギン・アップデートの登場で、その1つ前の「フレッシュネス・アップデート」(2011年)の最新情報を検索エンジンで表示するように変化したという大きなインパクトを吹き飛ばします。そして、ペンギン・アップデートの順位変動で外部リンク頼りだったSEO業者が崩壊したともいえます。
ハミングバード・アップデート
ペンギン・アップデート以降も2012年の著作権侵害・申告の多いサイトへのペナルティを受ける「パイレーツ・アップデート」、ドメイン名一致で低品質のコンテンツなサイトの順位を下げる「イグザクトマッチドメインアップデート」や2013年の金融や大人向けコンテンツのスパムサイトの排除をした「ペイデイローンアップデート」が次々にアップデートされます。
そして、2013年の「ハミングバード・アップデート」につながります。
ハミングバード・アップデートの大きな変化として、単語のキーワードを抽出して結果を返すのではなく、質問の意図を認識して検索結果を表示するようになったのです。そのため、より有機的な検索結果が反映されます。
ベニスアップデート
ブラウザが位置情報を求めるようになったことに関連して、2014年の「ベニスアップデート」では、位置情報ごとに異なる検索順位を表示するように変化したのです。
例えば、店舗名を検索エンジンで検索にかけたとき、東京と沖縄では、異なる店の検索順位が表示されます。
このとき、東京の位置情報では東京にあるお店が表示されやすく、沖縄の位置情報では沖縄にあるお店が上位に表示されやすくなるわけです。この変化は、さまざまな企業・会社名などにも適応され、税務や法務、飲食、病院などのジャンルにも幅広く地域の順位表示に適用されています。
ドアウェイ・アップデート
地域の情報ページなどを1つのページに誘導するためにリンクなどを張って作成されたページを低品質として評価を下げたのが2015年の「ドアウェイ・アップデート」です。
主に、同じ事業者で地域ごとに異なる地名を入れており、そのような場合に、コンテンツが同一なら低品質と評価するアップデートです。ゴミや水道業者などに多くあるコンテンツで、いくつかの業界ではSEOのやり方の変化を求められたことで知られています。
モバイルフレンドリー・アップデート
本格的にスマホの検索順位を検索エンジンのメインに据え始めたのが2015年の「モバイルフレンドリー・アップデート」です。
パソコンの利用者を上回ったことからスマホを重視した検索順位を構築するためのアルゴリズムが強化され、スマホ向けページが上位表示で評価されやすくなるというものです。
日本語検索・アップデート(日本)
日本語ページのみを対象にアップデートしたことで注目されたのが2017年の「日本語検索・アップデート」です。
キュレーションサイトによる悪質なコピーページや低品質(事実誤認)のページコンテンツに対して、ペナルティを課し、順位を下げたというアップデートです。
したがって、SEOが施され高順位の評価がされていたとしても、コンテンツそのものの質が低い、事実ではないというページには順位を引き下げるという対応がされたのです。
NAVERまとめサイトや2chまとめサイト、企業や個人が作成したまとめサイトなどが対象となり、多くのサイトがこのときに順位を落としています。
健康・アップデート(日本)
医療・健康ジャンルに対して行われたアップデートとして日本の多くのコンテンツに影響したのが2017年の「健康・アップデート」です。
信頼性の乏しいサイトコンテンツや虚偽内容、コピペなどのサイトは一掃され、低品質のコンテンツでは上位表示を狙えなくなったことで、医療・健康関連の業界に大きな衝撃を与えたことで知られます。
中には、素人記事というだけでなく、関連企業や民間病院がホームページ被リンクのサテライトサイト構築のために作らせていたコンテンツやまとめでアフィリエイトを狙う医療系キュレーションサイトのようなサイトもあり、これらも対象となったのです。
コアアルゴリズム・アップデート
小手先に頼らないユーザーに役立つコンテンツの制作と総合的な対策を求められるようになったのが2018年から繰り返し行われる「コアアルゴリズム・アップデート」です。
優れた質の高いコンテンツが推奨される背景にもこのアルゴリズムがあります。小手先のテクニックでは上位表示が難しくなり、さまざまな対策を通じて良質コンテンツで上位を狙うというやり方が普及したきっかけでもあるでしょう。
2020年には「(続)コアアルゴリズム・アップデート」など新型コロナウイルス感染症(COVID‑19)の増加に関連した変更があったと推測されます。このように年に数回のアップデートを繰り返してコアアルゴリズムを変化させた影響が検索順位にも現れているのです。
歴史を踏まえた最新のSEOのやり方を模索しよう
以上、検索エンジンのアップデートに関して、歴史的な展開やSEOのやり方への変化などについて取り上げました。SEOは2018年のコアアルゴリズム・アップデートが決定的となり、小手先ではなく、総合的な対策を必要とするように変化しています。
そして、低品質な被外部リンクを排除したペンギン・アップデートのような大型アップデートの存在も忘れてはなりません。
まとめ
今後は、過度な対策ではなく、競合調査とツールを使った分析を通してアルゴリズムへの変化の対応をしやすいサイトを構築し、定期的な調査、サイトの診断・分析をしていくことが求められるでしょう。
その際に、コンテンツの質についてよく理解したSEO業者を活用することで効果的に対策を打てることでしょう。
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この記事の監修者
永田達成
TATSUNARI NAGATA / 代表取締役
株式会社Soeluの代表取締役。1987年生まれ。福岡県出身。
2010年に大学卒業後、地元福岡のウェブ制作会社に営業として入社。
2019年に個人事業主として独立し、2021年に株式会社Soeluを設立。
現在は福岡を中心に東京・神奈川・大阪・名古屋・札幌など全国から多くのクライアント様とウェブを通して活動中。
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